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手術数が減少しても黒字化する方法:第3話


株式会社 サイプレス 
代表取締役 伊藤雅教 


今回は術前と術後の利益をどのように改善することができるかを説明する。

病院の外科医に面談すると、できるだけ外来で術前の検査を済ませていると回答する方と、病床の稼働率を考慮して、できるだけ満床になるように患者を入院させているという方がいる。どちらの方が利益的に貢献するのかを明らかにしてみたい。

通常、検査を入院で実施する場合には、入院基本料+加算+検査料などが収入源となる。ただ術後のように薬剤の使用は多くないので、1日当たりの収入の総額は少ない。一方、人件費、減価償却費、光熱費、維持管理費など、病棟における1日当たりの経費は収入を上回るケースが多々ある。検査目的での術前入院は赤字となる場合が多く、検査はできるだけ外来で行うか、あるいは手術直前に検査をすることが利益の改善となる。

病床稼働率を改善するために、特に必要もないのに入院させているのは赤字の増加を招く。患者の個人負担金の観点からも、無駄な入院は排除されるべきである。また、手術前に入院させて一時退院で帰宅させる場合があるが、収入がない上に経費のみがかかり、結果として赤字に陥る典型的なパターンである。

術前入院を減らす上で、同じ術式での入院患者の入院日から手術までの日数を全例ピックアップしてみると良い。たとえ外来でなるべく術前の検査を済ませるようにしている外科医であっても、手術までの日数にばらつきが結構見られる。その原因としては、緊急手術が突如入ってきた、麻酔医の手当てができなかった、手術室が空いていなかった--などがあげられるが、これらは手術予定のスケジュール管理の未熟さが原因である。

トヨタ自動車が実践している“ジャスト・イン・タイム”の手法では、必要な部品を必要なときに運び、必要な技能をもった人員が最も短時間で生産できるようスケジュール管理している。もちろん工場でも、天候・渋滞・事故・不良・欠品など、生産スケジュールを阻害する要因はいくらでもある。常に予定生産量を確保できるのは、こうした阻害要因を予測し、スケジュール管理を徹底しているからである。優秀な企業から学べることは、いくらでもある。

次に、術後の利益を改善するためには、基本的には在院日数短縮がポイントとなる。術後に集中治療が必要な場合に利用されるICUでは、加算に伴い収入は増えるが、集中治療に要する人員体制や装備類の購入費、減価償却費、保守・修理費などの経費がかかる。したがって、本来は外科病棟に戻せる患者をICUで看ることは、赤字幅を増大させることになる。

在院日数を短くするために最初に着手できる方策は、同じ疾病での手術症例のばらつきを改善することである。在院日数の最も短い症例と全ての症例で、平均在院日数と最も長い在院日数の症例を比較すると、在院日数が2〜4倍も異なっていることが多々ある。最も短い在院日数の症例との違いは、計画的でない退院指示である。並存症、合併症がなければ退院計画に基づき退院日を決定することができるはずである。また術後の抗生剤も異なったものを使用し、使用期間も異なる場合が多い。医療の標準化が叫ばれているが、クリティカルパスも含めてまだまだ改善の余地は多い。

一方、病棟での在院日数のコントロールでは、医師の指示待ちとなっているが、医師はおおよその退院日数の指示を出し、看護師が患者やその家族の都合を確認し退院予定患者の調整を行い、退院日を決定すると毎日の病床稼働率をコントロールすることができる。これによる利益の改善度は非常に大きい。

定額制払い方式(DPC)が導入された大学病院では今後、薬剤の使用の標準化も利益の改善として大きく寄与することとなる。また、多種多様な疾病を診るがために、非常に困難であると言われていた在院日数の短縮も、DPC導入以降は大きく改善している。経済的なインセンティブによって、このように難しいはずの改善が進むことは興味深い現象である。

株式会社日本医療企画 発行 「Phase3」 2004年3月号より転載

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